治大国若烹小鮮
事業仕分けの決算版
議員会館で、会計検査院から来た「平成20年度決算検査報告」を読んでいました。4センチくらいの厚さがありますね。まずは、わが町北九州案件がないかを見ています。よく会計検査院の報告と言われるもので、無駄遣いの指摘がなされるものです。かつては毎年150億円くらいでいつも同じ数字だったので、予定調和だと言われたものですが、昨年度分は2364億5000万円と相当な数字になりました。
ただですね、これが無駄の全てかというとそうじゃないのです。そもそも、会計検査院が検査するのはどういうものなのかというところから説き起こす必要があります。会計検査院法上は、どういう視点から検査をしているかということはあまり明確には書いてありません(それはそれで問題だと思いますけど)。ただ、報告書や会計検査院のサイトには以下のことが書いてあります。
(1) 決算の表示が予算執行など財務の状況を正確に表現しているか(正確性)
(2) 会計経理が予算や法律、政令等に従って適正に処理されているか(合規性)
(3) 事務・事業の遂行及び予算の執行が、より少ない費用で実施できないか(経済性)
(4) 業務の実施に際し、同じ費用でより大きな成果が得られないか、あるいは費用との対比で最大限の成果を得ているか(効率性)
(5) 事務・事業の遂行及び予算の執行の結果が、所期の目的を達成しているか、また、効果を上げているか(有効性)
(6) その他会計検査上必要な観点
まあ、こういう視点からチェックしているということです。ここで勘のいい方は気づくと思いますが、すべて「事業、業務そのものは間違っていない」ことが前提になっています。ある事業があって、それが正しく行われているか、効率的に行われているか、目的は達しているか、そういうことを検査するのです。なので、例えば、今の事業仕分けでやっているような政策判断には立ち入らないことが前提になっています。
私は、この分野で会計検査院にもっと頑張ってほしいと思います。かつても書きましたが、フランスの会計検査院というのは、それをやります。私がフランスにいた際、会計検査院長から「パリ-リール間のTGVは全然採算が取れてないし、そもそも、こんなものを作った政策が間違っていた」というレターが運輸担当の大臣に出ていました。それに対して、運輸大臣から会計検査院長に「いや、あんたはそういうけど、この政策判断は間違ってなかった。理由は・・・」みたいなレターが返り、更には会計検査院長が再指摘を行い、とこれら全てのやり取りが報告書には出ます。したがって、会計検査院長は政界の重鎮クラスがなります。しかも、会計検査院はフランス官界では最高峰の位置づけで、官僚養成学校の国立行政学院のトップは会計検査院を目指します。日本でも会計検査院長には、役人上がりではなく、政界の重鎮を置いてみると面白いんじゃないかと思います。
日本において、この決算レベルでの政策判断にまで踏み込んでの無駄チェック係は誰がやるのでしょうか。予算のレベルでは、これまで財務省主計局がやっていましたが、政治の力に抗し切れなかったことがあったため、その反省として政治による事業仕分け的なプロセスが進んでいるわけです。しかし、決算の段階で「事業仕分けの段階では分からなかったけど、これはやってみたら、政策そのものが無駄だった」と判断するのは誰なのでしょう。それをやる人は、行政機構としては今はいないのです。これを政府に求めるのは難しいです。何故なら、その政策を実施した政府が「やってみたら、政策判断そのものが間違ってました」と白状するのは、丁度都合よく、その間に政権交代でもなければ難しいでしょう。
だからこそ、政府から独立した行政機関である会計検査院なのだろうと思うのですね。つまり、簡単に分かりやすくいうと、会計検査院に「事業仕分け・決算版」をやってほしいということです(それを事業仕分けと呼ぶかどうかはともかくとして)。
この件については、もう少し続きがあります。また、後日。