おがた林太郎個人ブログ

治大国若烹小鮮

事前審査

 国会に来てみて、かつて官僚時代に経験したことに比べて「ああ、色々と変わったなあ」と思うことがあります。その中でも、あまり目立たないけど、私的には「とても変わった」と思えることをご紹介します。「与党内事前審査」の話です。


 事前審査というと何かと言えば、法律や予算モノを予め与党の部会で審査してしまって、すべてそこで与党内調整を終えて、表に出てくる時にはもうガチガチになっていることを指します。まあ、これは長所もありまして、政府と与党との間でかなり厳しい意思統一を事前にやるため、主たる論点がそこで全部整理済みになることです。与党の部会でお役人を罵倒しながら、法案を審査していくということで、法案内容も、お役所の事前準備のレベルも相当に鍛えられるということがあります。結果として、与党の議員は国会での審議では大して質問をすることがありません。事前にすべて終えてしまっているからです。


 しかし、これには欠点があります。それは「全然外から見えない」ということです。どういう経過を経て、この法律はこんなふうになったのか、そういったことがすべて与党内部の議論でこなされてしまうため、国民への説明義務という観点からはよく見えないのです。しかも、更に悪いことに、そういう表に出てこない議論の過程で「ごり押し」が出てくるのですね。予算でも、法律でも、表ではやりにくいごり押しものが、この事前審査制度の中であればやりやすいわけです。そこに、前政権の問題点があったと言っていいでしょう。ある意味、「政府と与党の一体化」は、前政権の方でもかなり強烈にやっていたわけです。ここに族議員が生まれやすい土壌が存在します。


 かつて、、私がWTOを担当していた時、政府の方針の大半はこの与党部会の事前審査の中で決まっていきました。たしかに激しい議論が中で行われていたのは事実です。しかし、その内容に触れることができるのは限られた人だけです。そして、そこで決まったことはそのまま政府の方針になっていました。私が某省と協議していた際、カウンターパートからよく言われたのが「与党から頂いているマンデートに反しますから、あなたの言っていることは受け入れられません。」ということでした。もっと正確に言うと「党のマンデート」という言葉をよく使っていました。某省にとっては「党」と言えば、名前を明示しなくても「自民党」だったわけです。それくらい、自民党の事前審査によって決まったことがガッチリと役所を押さえつけていたということです。


 まあ、もっと言えば、役所はもっとしたたかで、事前審査のレベルで与党内議論をどんどん役所の思う方向に誘導して、それを与党からの「マンデート」とした上で、今度は返す刀で「与党のマンデート」の御旗で政府部内での議論を押し込んでいくというやり方でした。ちょっと抽象的で分かりにくいかもしれませんが、与党の事前審査の方式を上手く取り込んでいたように思います。まあ、そういうことをやるから、某省は政治に弱い役所だったのだと思いますが・・・。


 そういう表に見えないプロセスが排除され、国民から見えないところでごり押しが通用しなくなるようにするという意味において、与党内事前審査がなくなったことは、私は評価に値すると信じています。残す課題は、かつて与党内事前審査で行われていたような激しい議論で法案を鍛え上げていく場を別途設けることですね。そこは、我々与党の国会議員の大きな課題であろうと思います。


 ちょっと今日は抽象的でした。分かりにくかったかもしれません。お詫び申し上げます。