おがた林太郎個人ブログ

治大国若烹小鮮

核密約の公表

 岡田大臣による密約の公表がありました。色々なものがあるのですが、いずれにせよ、私はあまり「(密約そのものの)犯人探し」には関心がありません。あまり有益なものがないような気がするのです。その時、その時の政治判断があったでしょうから、何処かの一点だけを切り出して、誰それが悪いという話をすること自体に違和感があります。勿論、「検証」はすべきですが、それが「犯人探し」にならないようにする配慮は必要です。


 逆に「文書の破棄」についての「犯人探し」には関心があります。文書というのは歴史であり、それを軽々に「情報公開法上都合が悪いから」ということで破棄してしまったことには、とても問題を感じます。情報公開法上、存在している文書を「ない」と言い張ったのがバレると刑事罰ですけども、存在していたはずの重要文書を破棄してしまうことは、仮に文書に関する種々の関係法令、規則に違反してなかったとしても、歴史に対する罪だと思うわけです。


 しかし、一番大事なのは「これからどうするか」でして、その辺りが出てこないですし、マスコミも取り上げませんね。特に核の持ち込み密約については、放っておいていい話ではないのです。もう何度も書いたことなので、新味は全くありませんが、もう一度だけ書いておきます。


● 現在、領海法により、宗谷、津軽、大隅、対馬東水道、対馬西水道の5海峡においては、日本は国連海洋法条約で認められる12カイリではなく、3カイリを主張している。

● これは、12カイリを主張すると5海峡では公海部分がなくなるため、日本の非核三原則の「持ち込ませない」との関係で問題が生ずるということがあり、アメリカの核搭載艦がこの5海峡を越えて日本海に入られなくなるためとされる。ただし、これまで外務省はそういう答弁はしていない。


● 5海峡で12カイリを主張すると、国連海洋法条約における「国際海峡」となる。その結果として、通過通航権というものが認められる。国際海峡では幅広く通航の権利が認められ、通常の領海よりも制限が緩やか。


【国連海洋法条約第三十九条 通過通航中の船舶及び航空機の義務】
1 船舶及び航空機は、通過通航権を行使している間、次のことを遵守する。
(a) 海峡又はその上空を遅滞なく通過すること。
(b) 武力による威嚇又は武力の行使であって、海峡沿岸国の主権、領土保全若しくは政治的独立に対するもの又はその他の国際連合憲章に規定する国際法の諸原則に違反する方法によるものを差し控えること。
(c) 不可抗力又は遭難により必要とされる場合を除くほか、継続的かつ迅速な通過の通常の形態に付随する活動以外のいかなる活動も差し控えること。
(d) この部の他の関連する規定に従うこと。
2 通過通航中の船舶は、次の事項を遵守する。
(a) 海上における安全のための一般的に受け入れられている国際的な規則、手続及び方式(海上における衝突の予防のための国際規則を含む。)
(b) 船舶からの汚染の防止、軽減及び規制のための一般的に受け入れられている国際的な規則、手続及び方式
(以下略)


● 普通に読めば、核搭載艦が国際海峡を通過していくことは禁じられていないように読める(核搭載艦の通過自体が「武力による威嚇」になるということはない)。日本が5海峡で12カイリを主張し、5海峡が「国際海峡」になったら核搭載艦の通過を止めることが出来なくなるはず。結果として非核三原則の「持ち込ませない」の現行運用は維持できない。


● つまり、5海峡については、「3カイリに止め、領海の主張を制限する」 or 「12カイリを主張し、国際海峡とする。その結果として『非核三原則』に少し穴を空ける。」のどちらかしかない。

 こういう状況下において、私は後者の選択肢を取ることが求められるのではないかと思います。というのも、国のあり方として「主張できる領海を、必ずしも正当化できない理由で放棄している」ことは正当化できません。そもそも、国際海峡を核搭載艦が通ることは「非核三原則」に反するのでしょうか。そもそも、今、(公海ということで)通れるものを、枠組みを変えて(領海だが国際海峡ということで)引き続き通れるようにしておくことは、別に何ら問題はないわけです。


 これを国会で聞こうと、ずっと出番を待っているのですが、なかなか出番がありませんねぇ。