おがた林太郎個人ブログ

治大国若烹小鮮

自殺

 今、生命保険では自殺でも保険が出ます。商法ではこういう規定になっています。


【商法第680条】

第六百八十条  左ノ場合ニ於テハ保険者ハ保険金額ヲ支払フ責ニ任セス
一  被保険者カ自殺、決闘其他ノ犯罪又ハ死刑ノ執行ニ因リテ死亡シタルトキ
二  保険金額ヲ受取ルヘキ者カ故意ニテ被保険者ヲ死ニ致シタルトキ但其者カ保険金額ノ一部ヲ受取ルヘキ場合ニ於テハ保険者ハ其残額ヲ支払フ責ヲ免ルルコトヲ得ス
三  保険契約者カ故意ニテ被保険者ヲ死ニ致シタルトキ
○2 前項第一号及ヒ第二号ノ場合ニ於テハ保険者ハ被保険者ノ為メニ積立テタル金額ヲ保険契約者ニ払戻スコトヲ要ス


 「保険金額ヲ支払フ責に任セス」ということは、「責を任ずる」ことをしないということであって、「責を負うこと」については妨げられていません。結果として、生命保険では保険が出るようになっています。ただし、生保会社も自殺の問題は認識しており、総じて「加入後、●年間は保険金を支払わない(●は2という数字が多いような気がします)」といったことになっています。理屈の上では「自殺を前提に生保に入っても2年も待てる人は少ない」ということのようです。それはそれで分かります。


 ただ、「いつか来るべき時が来たら死を以てカネを払う」という決意の下に生保に入る人もいるわけでして、私は「死でカネを払う」ということをやらせないという観点から、何処か心の中で「自殺で生保を支払わさせない」という法改正をいつも考えています。そこまでが困難なら、エヴァンストニアンさんが言うように更に免責期間を長くするということもあるのかもしれません。


 自殺を完全に免責するのは簡単なことで、上記の商法第680条の「支払フ責任に任セス」を「支払ってはならない」というふうにすればいいだけです。エヴァンストニアンさんがご指摘いただいているように、自殺と生命保険の免責期間と強い関係があるのなら、特にそう思います。多分、リスク管理の観点から保険料の引き下げにもなると思います。


 その中で気になるのは、(1)うつ等で不幸にも自殺してしまった方まで免責するのが適切なのか、ということと、(2)破産等の法制の更なる整備です。前者は、現代社会の抱える大きな問題です。これは個人のプライベートになるのであまり書きませんが、私にも知己がうつになったケースがあり、簡単に「個人の問題」と言いきれないものを感じています。あと、後者は金銭的に問題を抱えてしまった方に対して、逃げ道を残しておくという意味合いがあります。破産もできない、自殺で返済の道もない、ではただただ隘路に追い込まれるだけです。


 そう簡単な話ではないのだな、ということは理解し始めています。自分の持つヒューマニズム(自殺を生保から完全免除する)が常に社会正義となるわけでもないということも感じます。ただただ、私は自殺をする人を減らしたい、それだけですが、もう少し悩み続けたいと思います。